Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第47弾:トヨペット・クラウン・RS
2025.8.16
Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第47弾:トヨペット・クラウン・RS
トヨペット・クラウン・RS型の発売は1955年、太平洋戦争終戦からわずか10年。多くの日本の自動車メーカーがノックダウン生産(日産:オースチン、いすず:ヒルマン、日野:ルノー)を核に欧州メーカーからの技術導入を図る中、トヨタは独自開発に拘り自家用乗用車市場の拡大を狙って開発・発売。「最高時速100km/h」を歌う当時としては高性能車でした。
写真:真正面
写真:真横
写真:真後
写真:斜め前方
写真:斜め後ろ
写真:計器盤廻り
そう言えばギアシフトは当時の高級車の定番コラムシフト方式。 交差点などで不用意に停止するとリンクが外れシフトレバーが“フラフラ“車も動けなくなってしまう!当時はそんなに交通量がなかったとはいえ、交差点でエンコ(エンコという言葉も殆ど死語になってしまったようで)。後続車も心得たもので、端から車間距離をとっているものだから別に文句を言うわけでもなし! こちらも慣れたもので、ボンネットをガバッと開き、バンパーに上って上半身をエンジンルームに突っ込んで、リンクを掴んでガチャガチャと揺するとリンクが引っ掛かり修理完了!
写真:エンジンルーム
オイルバス式のエアクリーナーとか、見るからに丈夫そうな(決して高性能には見えない!)OHVエンジンとか! そう言えば同じ系列のエンジンでオイルを入れ忘れて150km走っても焼き付かなかったとか!そんな都市伝説もありました。
<筆者が実際に運転したのは15年落ちの老体ポンコツ>
筆者がクラウン・RS型を実際に運転したのは1960年代末期、高性能車RS型も15年経過の“老齢車、ポンコツ“でしたが、いろいろなところに自動車の原点を感じさせるものでした。
写真:”ベロっと舌出し”方向指示器
RSの印象で一番強烈だったのが方向指示器! 現代のウィンカーの様に点滅するライトではなく、センターピラー上側を支点としてベロッと飛び出すアーム式!
峠道などで後続車が追い抜きをかけるタイミングで、この方向指示器を左右交互に出してみると、なぜか後続車は“抜く気”を削がれ苦笑しながら後ろにつくという(笑い)!
写真:クランク棒でエンジンスタート
バッテリーが上がっても安心と言うのが当時の車。エンジンが掛けられるようにクランク棒が標準装備。
イグニッションをオンにして、車の前に回り、クランク棒をラジエターグリルの穴に差し込む、クランク棒の先のピンがエンジン・クランク・プーリーの溝に入っていることを確認して、ピストンの圧縮を感じながら“グイッ”とクランク棒を回す!運が良ければエンジンが”ゴクン”とかかる!
写真:ガラス製のテールランプ
今でこそ樹脂が当たり前のランプレンズ類も当時はガラスでした。面積は広げられないものの、重厚感はガラスですね。
<中折れウィンドシールド>
当時の技術では車幅一杯の一体ガラスの整形は難しかったために分割になっていました。VWビートルの初期も二分割だったと記憶しています。
写真:観音開きドア
ロールス・ロイスとかRX8とか今でも観音開き(でもセンターピラーレス)はあるものの、当時は観音開きが常識でした。
写真:当時の高級感を表現するふわふわのシートクッション
厚い“金属ばね”層の上に、棕櫚だと記憶していますが“植物繊維層”その上から“織物”のカバー、アンティークの家具みたい!
<裸シャシーでの走行>
やがて“元高性能車、現老朽車”にもお別れの時が来ました。ガレージ内のスペース確保の目的で廃車処分すること決定。
単に解体屋さんに持っていくのも面白くないとボディを外し、シャシー状態を目指すことにしました。現代のものコックボディ構造では不可能ですが、一個一個の構成部品が独立した構造になっているせいか、意外と簡単にボディを下ろせ、シャシーだけで走行できる状態にすることが出来ました。
後輪への荷重配分が大幅に減って、ちょっと荒くクラッチを繋ぐと簡単に後輪がスピンするのが印象的でした。
分解しても動く!こんなところも「丈夫で長持ち」トヨタが育っていたのでしょう。
<ロンドンー東京50000kmドライブ>
初代マークⅡの“世界一周スピードラン”とかRT40コロナの“名神高速10万キロ連続走行公開テスト”だとか、トヨタは車を走らせて耐久性を売り込む宣伝が多かったようですが、クラウンRSでも“1956年朝日新聞主催のロンドンー東京50000キロドライブ”やっていたんですね。
<豪州一周ラリー>
1957年の豪州一周モービルガス・ラリーなんかにも参加していたようです。
今は無きお台場のメガウエッブに展示され、最近はクラウン70周年記念でトヨタ自動車博物館に展示されていましたね。
<本稿完>
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