Mic Seja車遍歴

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Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第42弾:KP61スターレット

2024.12.18

Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第42弾:KP61スターレット

<ジムカーナ>

あれはAE86が評判になり始めた1985年前後、ジムカーナに凝ってみた時代がありました。近くの中古屋さんを巡って再初期型の営業車上がりのスタンダード(最廉価モデル)KP61を探し出してきました。記憶がはっきりしないのですが、とても魅力的な(つまり安い)プライスタッグでした。それでも躊躇するフリをしたところ「カーラジオとレースのシートカバーもつけるよ!でも取り付けは自分でやってね」という事で一件落着。

中古営業車上がりの{すっぴんKP61スターレット}でしたが、一応ジムカーナ仕様変更を実施、とは言っても予算は絞りに絞ってという事で145SR13ダンロップSP10(だったと思うけれど)、ビルシュタイン・ガス・ショック、レカロ・シート(当然ドライバー席のみ)、そのへんに転がっていたエンジン・タコメーターを取り付けました。

<てな準備をして地元のジムカーナに参戦。>

小さめのボディを利してコース取りを工夫しながらそこそこのタイムで回れるのですが、競争相手とドッコイの計時!何とか頭一つ抜け出そうと思うのですが、敵も同じことを考えている。

<激半クラ作戦>

エンジンを回るだけ回すのは当たり前。故障や寿命なんて考えていられない。KP61スタ―レットの4Kエンジンは6000rpmあたりがmax、サージングしてしまう。

*1100cc1Kや1200cc3Kエンジンではツインキャブ仕様で最大出力6600rpmとカタログには載っていたけど、自分の車も後付タコメーターでは(表示は8000rpmまで書いてあったけれど)6000rpm以上は示してくれなかった!

あるコーナーを一速で回るとエンジンがふけ切ってしまう。二速だと今度はトルクが不足する。こんなジレンマを解消するために激半クラ作戦が編み出しました。二速のトルク不足を半クラッチで見かけ上のギア比Upと最大トルク狙いで誤魔化す作戦!

こんな無理したところでタイヤはしっかりとグリップしてくれて、ドリフトに持ち込めない(エンジン・トルクよりタイヤ・グリップが勝っているので滑らない)ドリフトしないという事はステアリング・ホィールをコース通り回さないと周回できないってこと、やっぱり早くならない!

<激半クラでスタート>

最大トルク回転数をはるかに超えて6000rpmくらいにエンジンをぶん回しておいて、クラッチを激烈に滑らせながらスタート。ついでにエンジン・トルクに少しでも上乗せしようとフライホィールの回転慣性も使っている気持ち。

<最初のコーナーまで。>

激半クラで発進させた後、最初のコーナーまでの直進でエンジンを目一杯回し、二速にシフトアップ。

ギア比が一速3.789・二速2.220なので一速で6000rpmだと二速にシフトした途端3515rpm。

エンジン・トルクが6000rpmで7.57kg-f-mだったものが、3515rpmでは10.5kg-f-cmだけど一速/二速のギア比補正(2.22/3.789)をすると6.15kg-f-cm相当。

ここも激半クラ。エンジン回転数を6000rpmに維持しながら。エンジン回転数低下とギア比を半クラッチでごまかそうという算段

<最初のコーナー、前輪外側のタイヤに荷重を乗せてコーナーを回りこませる>

ブレーキングなしでステアリングを切る!スロットルオフ・若干ブレーキング気味にして一挙に前左タイヤに荷重を集中。ここでフルスロットル、でもトルクが不足して後輪はグリップ状態。またもや激半クラッチ。ここでパワースライドできればいいんだけど、小排気量の悲しさ!エンジン・トルクはタイヤのグリップを超えられず、ガクっと速度が落ちてしまう。

<1速オーバーレブか2速半クラッチか?>

最初のコーナー以降は「1速でオーバーレブさせるか?2速で半クラッチか?」つまり、トルクピークを外れて落ちてきたトルクと1速ギア比が勝つか?2速ギア比とどちらが有利か?いろいろやってみた結果は2速で激半クラ作戦が、あせる気分に一番合っていたような!?

 ある時、当時出たばかりのAE86(確かトレノだったと記憶)ビックリするほど加速がよく、コーナーでは、あまりきっかけを意識しなくても、アクセル・ペダルの踏み込みひとつできれいにスライドしてくれる!こりゃージム・カーナ・マシンだわい、と思った次第。

 <KP61スターレット概要>

1978年から1984年まで続いたKP6#シリーズですが、ちょうど排気ガス規制が厳しくなってきて、キャブからEFIに移り変わる世代でした。

当時の軽自動車にも比べられるくらいの軽量設計!鉄板も薄い薄い!リアクオーターなぞはワックス掛けの旅に「ペナペナ」

 

スタイリングもスッキリ!

<K型エンジンの進化>

「+100ccの余裕」で初代カローラに始まったトヨタのK型シリーズですが、原価の優位性から、排気ガス規制対応の後、排気量を伸ばしついには1.8lの7Kまで発展しました。

シリーズの排気量・ボア・ストロークそして各型番の最大出力発生回転数を一覧にまとめてみました。

1000ccから1800の排気量拡大は:

―シリンダ鋳物に余裕がないボアは8mm(つまり直径方向に4mm)しか拡大されていないのに、

―ストロークは26.5mmも延長。

シリンダヘッドは無鉛化などの変更があったものの基本的には1100cc1K型を踏襲しているらしいので、排気量が増えても最高出力発生回転数は低下、つまり1K以上に空気が燃焼室に入って行かなかったという事らしい。

<トランス・ヨーロッパ・トライアル>

KP61の宣伝に「トランス・ヨーロッパ・トライアル」がありました。当時ヨーロッパは自動車大先進国。派手なロゴで横文字が並んだカタログ見ただけで、「スターレットは欧州美人的な印象を貰ったものでした。

<TRDレーシングカー>

これ以上空気が入って行かない3Kエンジンに見切りをつけ、DOHC特注ヘッドを組み合わせたTRDスターレット。どれくらいパワーが出ていたか知りませんが、音だけは「うるさかった!」

TRD初代スターレット

TRDKP61二代目スターレット

<本稿完>