Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第41弾:トヨタ パブリカ
2023.12.31
Mic Sejaの小型高性能車シリーズ第41弾:トヨタ パブリカ
<$1000カー>
パブリカの当初企画では水平対向エンジン・前輪駆動(シトロエン2CVとかDKWをお手本にしたと歴史には書いてあります)だったそうですが、それを当時の技術水準を考慮し、極めて保守的な後輪駆動・半楕円リーフ後サスペンションのツードアモデルとしたパブリカは1961年に発売されました。
戦後の混乱期から高度成長期に移る時代を背景に「サラリーマンでも購入可能な千ドルカー」のキャッチフレーズで販売促進されたという事でした。一ドル360円の時代ですから36万円!
スタイルはオーソドックスな2ドアセダン。「長く使える平凡に自動車」を具現化したものでした。それにしても当時の車はシルエットを見ただけでモデル名を言い当てることが出来ました。凸凹や折れ線での差別化でシルエットでは判別できない現代の車とは大違い!CADの功罪でしょうか。
<諸元・バリエーション>
<ドライビング・インプレッション>
当時は未だ自動車は高嶺の花!360cc軽四輪と比べれば立派なセダン・ボディ、大人4人がしっかりと座れました。4速コラムシフトを駆使してパタパタと街中を駆け回る。
一速はノンシンクロ、赤信号交差点にアプローチ中に青に変わった時などエンジン回転を合わせないと一速に入らない!強制的にヒール&トーを覚えさせてくれました。当時はシンクロも弱く耐久性も今一、ミッション・デフなど機械加工部品もまだまだでした。
また、ブレーキはドラム式。ブレーキ・ペダルを踏むたびに片効きして進路が偏向するのが当たり前。
速度計はあるものの燃料ゲージもないインパネもスッキリしていました。
エンジンが空冷なので水漏れの心配もなく、チョークを引けば難なく始動できたと記憶しています。冬の夜に走っていると、エンジンが時々パワーダウンしてしまうので調べてみればキャブのアイシング、キャブの中でガソリンを霧化させるものだから水蒸気が凍って燃料が行かなくなりエンスト!初期型はエンジンの冷却気を引き込むくらいでひざ掛け毛布が必要でした。
エンジンは空冷水平対向二気筒、4速マニュアルミッションを介し後輪を駆動する。フロントサスペンションはトーションバー・ダブルウィッシュボーン独立懸が、後輪は半楕円リーフのリジットアクスルでした。
エンジンの冷却系統は、日本の夏でも通用する様に十分な余裕を持った仕様とされているようで、真夏を除いてはシロッコ・ファンもエンジンカバーも外してシリンダーむき出しでも問題ありませんでした。
*前期U型エンジンルーム
*パブリカスーパー2Uエンジンルーム
室内もコラムシフト4段、正面にメーターが位置する当たり前の配置でした。当時はセーフティ・パッドの常識は無くインパネも鉄板プレスでした。パーキングブレーキは床に生えたレバー方式。ステアリングはウオーム&セクター式。
*前期型室内
*後期型室内
<前期型と後期型>
<パブリカ・バン>
<パブリカ・ピックアップトラック>
<トヨタ・スポーツ800>
<ミニエース>
<後継モデル>
U/KP30系
<Kさんのレーシング・パブリカ>
見た目と違い重心はヨタハチより低く、重量も軽いためレースでもヨタハチと互角に戦えるとのことです。
<考察>
レストアやメンテ作業をしてみて思うのは「60年以上後に乗っても、乗りやすく・維持しやすい」基本性能がしっかりと刷り込まれている超優秀な「小さく高性能な普通の車」と言う事です。
<本稿完>
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