Mic Seja車遍歴

Mic Seja Car history

第三弾:トライアンフ・スピットファイヤ 

2020.9.16

<トライアンフ>

トライアンフと言うと二輪、大脱走のスチーブ・マックィーンが逃げ回るTR6トロフィー(下の写真右上)が思い浮かんできますが、四輪の方でもTR3とかTR4(写真中段)とか、英国華やかかれし時の高性能ブランドを思い浮かべます。庶民により近いライトウエートスポーツカーでもスピットファイヤでした。当時、オースティンスプライトとMGミジェットのスプリジェット(写真下段)とガチの競合勝負をしていたモデルです。

<トライアンフ・スピットファイヤ>

名前は第二次大戦中の英国空軍のスピットファイヤ戦闘機(下の写真右上)、プラットフォームはヘラルド(下の写真右中央)。

フレーム付きの形式だったのでツーシーター・ボディの架装は比較的簡単。当時の売れっ子デザイナーのミケロッティの素晴らしいスタイリングも魅力的でした。ヘッドライトに成型カバーをかけるなどレースシーンでも格好良かった! 

 

1962年の1147ccから始まり、1967年には1296cc、最終型の1974年型では1498cc、ミケロッティによるボディースタイルもMKⅠ~MKⅣそして1500(実質MKⅤ)とだんだんに格好良く(私の好みに近く)なっていきました。

<構造上の特徴>

フレーム付きなので、ボンネット・フェンダーは一体で開く形態(写真左上)、するとエンジンがむき出しになるのでサービスを至って容易(写真右上)、更にフロントフロアパネルも外せるのでトランスミッションも容易にサービスできる(写真左下)。リアサスペンションはスイングアクスル(写真右下)。スプリジェットが単純なリジット・アクスルだったのに対し、スイングアクスルながら独立懸架だったこともあり操縦性が優れていると評判だったそうです。

ちょっとした曲がり角で不通にステアリングを切り込むと、予定の2/3くらいでロックしてしまい大慌てした記憶があります。ステアリング切れ角を制限していたのかもしれません。

<スイングアクスルとジャッキアップ現象>

通常状態では独立懸架により操縦性が良かったが、限界を超えると急激なオーバーステアに転じることでも有名でした。尤も当時のVWビートル・ポルシェ356やベンツ170、日本では日野コンテッサ・イスズベレットなどスイングアクスルは一般的なものであったようです。同じスイングアクスルのシボレー・コルベアはラルフ・ネーダーの安全自動車騒ぎで「危険」と烙印を押され市場から消え去った歴史も思い出されます。

筆者も大昔に小型VWビートルのスバル360で右にステアリングを切りながら急ブレーキをかけたら、見事にひっくり返った経験があります。空冷ポルシェも993になるまでは基本的にスイングアクスルで、「コーナリング中に絶対にアクスルをオフしてはいけない」と先輩からさんざん忠告されたことが思い出されます。

Wikipedia によれば「駆動軸の独立懸架化のために使われるものの中では初歩的な形式で、構造はスイングアームの車台側の支点軸が車台中心線と平行で、ハブ側が剛結である。ドライブシャフトは屈曲点が一箇所で、伸縮はしない。」とスイングアクスルを説明しています。

写真上はジャッキアップ現象、中段はMK3の改良型の部品図、右下が実際の写真です。

ジャッキアップ現象を図解してみると、

(左側)通常走行状態から、片輪が出こぶを通過すると(中央)ホィール全体がデフを中心にスイングしてショックを吸収します

吸収のおつりとしてボディ全体がリバウンドすると(中央)、デフが持ち上がり、結果として左右ホィールがポジティブキャンバーの状態になります。直進状態では元に戻るだけですが、コーナリングの途中で、ブレーキを踏んだり、アクスルをオフにするなどフロントに荷重がかかった状態だと、コーナー外側のホィールがつま先立ちしたみたいになってグリップを失い一挙に外側に滑ってしまう現象です。

 

<スピットファイヤとルマン24時間レース>

スピットファイヤはルマン24時間レースにも登場(写真左)、小排気量クラス12位(総合1314位)と立派な成績を残しています。(ちなみにスプリジェットは3位)

数年前に出かけたレースレトロにはそのレプリカが展示されていました。(写真右列) 「売り」約\400万のプライスタッグが掲げられていました。

<スピットファイヤGT6

4気筒エンジンの力不足を補うために2リッター6気筒エンジンを載せたモデルがGT6です。当初は4気筒のスイングアクスルをそのまま使っていたのですが、市場(特に米国)の苦情で1969年にウィッシュボーンタイプに、更に1970年にスイングアクスルに横置きリーフスプリングを追加し、キャンバー変化を押さえる変更が行われています。空気抵抗の改善と貧乏人のジャグアEタイプと言われるスタイルを手に入れました。下の写真は今年の初めのレトロ・モビルに出品されていたGT6MKⅡです。最高速も100マイル/Hを誇らしげにカタログに歌っていました。今でこそ100M/H160km)は当たり前ですが、当時は100マイルが高性能車の旗印でした。邦貨にして約200万円のプライスタッグがついていました。ちょっと色が気に入らないけれど、魅力的!エンジンフードのパワーバルジ、スムーズにテールに流れるルーフライン、そして英国クラシックカーの定番のワイヤーホィール!うれしくなってしまいます。

<本稿完>